1943

統合の危機

北澤敬二郎

戦争が長引くにつれて板ガラスの生産に必要な原料は不足していった。政府は戦力増強企業整備要綱を発表し、企業を整理して資材や労働力を軍需産業に動員する方針をとった。当社は設備の一部を政府に供出していたが、政府からは他社と合併して企業整備に協力するよう求められた。しかし、住友本社常務理事の北澤敬二郎は「日本板硝子は平和産業であるから戦争が終結したら必ず国の役に立つ。つぶしてはいかん。」と異を唱えた。その後も政府から合併を強要されたが、当時の中村社長も断固として反対し、当社の消滅を食い止めた。